行き詰まったら

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1. なぜ論文化したいのかを考える

なぜ論文化したいのか?が明確でないと論文自体のメッセージ性も曖昧になり、何を書いているのか自分でもわからなくなります。当然ながら自分でもわからないものは人には伝わりません。論文を書くことに迷い始めたらこの原点に立ち返る必要があります。

そして論文が書けるか書けないか?というのは人によります。英語の論文を書いている人は、もともと英語が得意な人と勘違いしていないでしょうか。自分は英語が得意じゃないから英語論文は書けないと思っている(思い込んでいる)かもしれませんが、そんなことはありません。最初は確かに時間はかかります。しかし、必ず書けます。書けない理由のほとんどは「英語」ではないところにあると思います。 筆者が指導した経験上、

  1. コツコツと毎日進めることができる
  2. 英語論文をどんどん執筆して活躍したいと思っている
  3. どうしても形にしたい研究アイデアがある

この3つのうち、どれかに当てはまる人は英語が苦手でも自分で進めていける印象があります。逆に書けない人、あるいは書いている間に壁にぶつかりやすい人は、下記の点があるように思います。

  1. ミーハー、飽き性、すぐに諦めてしまう傾向にある
  2. 「なんとなく論文が書きたい」という理由
  3. 博士号取得・資格に必要だからという理由
  4. 所属施設の意向による研究をしている

特に3と4は「自分の意思ではない」という共通した問題点ですが、自分の行なっている研究に意義を見出せないと研究は単なる作業になってしまい面白くありません。そもそもなぜ研究しようと思ったのか、なぜ自分の研究が大事なのかをもう一度よく考えてみましょう。大学院に行きたくなかったけど書かされてるのであれば自分の人生を考える機会(?)かもしれません。

筆者の意見としては、「はじめは興味がなかったけどやってみたら面白かった」はよくあるので、最初の一本は自分の興味と合わなくても頑張ってみても良いのではないかと思います。結果が付いてくると、はじめは楽しくなかったことでも徐々に楽しくなっていくものです。研究者が持っているテーマは自分が考えたものではなく、最初は言われたからやっていたけどだんだん楽しくなったという人も多いです。

ちなみに下記の本は面白かったので、「研究が進まない…」と悩んでいる人は一読してみては。

なぜあなたの研究は進まないのか? 
「研究が進まない…」と思うことは誰しもがありますが、その中でよくあるパターン・ピットフォールがまとめられています。150pageほどの本で読みやすいので、行き詰まったら息抜きを兼ねて読んでみてはどうでしょう。

2. 論文を書く上での難所

筆者が個人的に考える(あまり英語が得意でない日本人が)論文を書く上での難所は下記です。

  1. Introductionの中盤 (knowledge gapの提示と論理構成)
  2. Figureの作成
  3. Discussion(Strengths/Limitations)

これらは慣れないと難しいので、時間がかかると割り切った方がいいです。Figureは書き方そのものよりも、そもそもどうやって描くかで躓くかもしれません。最初は大まかに仕上げてから、後でメンターと相談しつつ詰めましょう。具体的な書き方は各セクションを参照ください。従ってこれらのところに固執しすぎず、書けるところから書きましょう。これらのところで進まないまま時間が過ぎると焦る一方でいいことがありません。


3. ChatGPTを用いた論文執筆

先の章でも書きましたが、行き詰まってどうしようもなく時間が過ぎるなら、ChatGPTを利活用して、文章を進めましょう。なぜそのような文章にしたかもChatGPTに聞けば教えてくれます。

【実例あり】ChatGPTで論文執筆⁈ オススメのプロンプトを解説
研究者にも「ChatGPTを使いこなせて一人前」と言われる時代がくる?この記事は、ChatGPTを使って論文を執筆するためのプロンプトを、実例とともに紹介します。

ただ、継続して研究を行うのであれば、英語論文の書き方は十分な経験のある人に指導を受けないと伸びないと思っています。

日本語ができるというのと、日本語で論文が書けるというのが全く別のスキルであるように、多くの臨床医は論文を書くという事そのものに慣れていません。いくら性能の良い大規模言語モデルや機械翻訳を用いても、もとの文章が研究論文の形でなければ出てきた文章もイマイチです。

筆者の経験ですが、留学先でも帰国後の研究室でも、「論文は表現やロジックを徹底的に詰める必要がある」と教わり、実際の原稿を出すと徹底的に修正を入れられました。非常に恵まれた環境であったと思いますが、academic writingのスキルというのは研究者に取って重要であるため、指導してくれる環境であれば手放さないようにしたいところです。とはいえ、高度なacademic writing skillを持つ指導者は極めて希少です(研究指導者よりはるかに少ない)。

Academic writingに関しては前のページも参照ください。


4. 基本は悩んでも無駄

なので、この文章を見たらページを閉じ、スマホも閉じて論文のファイルを開き、何でもいいから書くか、ChatGPTに投げるか、メンターに連絡しましょう


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