References

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1. 引用文献に論文の質が出る

論文初学者に見られる特徴として、Referencesがいい加減である、というのがあります。 先に述べたように「過去の知見の上に自分の研究が成り立っている」わけですから、ここが適当=自分の研究の土台が適当、ということです。質の高い査読者はここを見逃しません。

指導者としても、引用文献が無かったりあまりに適当な引用だと「もうちょっと頑張って欲しいな…」と思うことはあります。ChatGPTなどで書いた文章はこれが顕著で、自分で書いてないから引用文献がつけられていないことが多いです

せめてPaperpileなど文献ソフトは最低限使い、絶対に手動はやめる事が第一です。文献管理ソフトの欄と使い方ところを参照してください。 文献管理ソフトの最初の字体はTimes New Roman以外のことが多いので訂正する必要があります。

引用文献においてよくある問題として下記があります。

  1. フォントやフォントサイズが本文と違う
  2. 引用符の付け方がおかしい
  3. 引用スタイルが雑誌のauthor guidelinesと違う(特にウェブページなど)
  4. 引用の雑誌名や日付がおかしい
  5. できるだけ原著論文を掲載すべきなのに総説ばかり引用されている
  6. 引用された論文より適した論文がある(おそらく文献検索が甘い)

論文を書いていて一番困るのは雑誌によって引用の方法・スタイルが異なることです。しかし文献管理ソフトには様々な雑誌に対応したスタイルが保存されており、投稿先の雑誌のスタイルを選択するだけで(だいたい)自動で投稿先の雑誌の引用スタイルに修正してくれます。ただし文献ソフトも完璧ではないので必ず最後に自分で確認しましょう。まあ細かい修正もChatGPTにauthor guidelinesの該当部位を貼り付けて、「次に貼るReferenceをこの通りに直して」と投げれば済むことですが。

また引用文献は多ければ多いほど良いというものでもないので、概ね20-30程度を目安にしてください。


2. 一般的な引用文献のルール

雑誌によりますが、一般的な引用のルールとして、

1)筆者名
多くのジャーナルでは6名以内は全員記載、それ以上なら最初3名を書いてあとはet al.とまとめるパターンが多いです。Authorがグループ名になっている場合、文献ソフトがうまく認識せずおかしな表記になりやすいので確認が必要です。

2)雑誌名
基本的に省略形(abbreviation)かつ斜体(もしくは太字)を用います。文献ソフトを用いれば自動で行ってくれるので悩むことは少ないでしょう。勝手に省略形を作ってはいけません。

3)年巻号項
2021;6(9):324-351のように、年; 巻(号):ページ数で示されることが一般的です。

4)本文中への引用
本文中の引用の付け方は主に下記の2パターンです。

A. A previous study showed the effectiveness of the treatment strategy.13
B. A previous study showed the effectiveness of the treatment strategy [13].

Aは句読点の後に上付き文字で記載されており、Bでは句読点の前に[ ]で示されています。ただし例外もあるので、必ずauthor guidelinesは確認してください。


3. 論文をまた引きしない

論文の本文が手に入らなかったり、あちこちで引用されている論文を見たりするとつい、「アブストラクトだけ読んだけど、これでいいだろう」とか「この有名な論文を引っ張っておけばいいか」と思ってしまうかもしれませんが、絶対にいけません(恥ずかしいことです)。査読者によっては丁寧に引用文献までチェックします。ちゃんと内容を読んでから引用するようにしましょう。


4. 自分たちの論文を引用するかどうか

ある研究者の論文が評価されたかどうかの指標として引用数が挙げられます。極端な話、10年以上誰も引用しない論文であれば、それは科学にインパクトをほとんど与えなかったと考えられます(あまりに先鋭的な研究が引用されないことはありますが、そういった研究は後日ちゃんと評価されます)。

したがって自分の研究を意図的に沢山入れることで引用数をあげることが可能になるため、自分の論文を引用するのは良くないという考え方の人もいます。

筆者らは基本的に「研究というのは大きなゴールに向かって一つずつ積み重ねていくもの」と考えているため、自分の研究を引用しないとむしろちゃんと論文が書けないのではないかと考えています。当然過剰に引用するのは良くないですが、主な研究を適切に引用するのは大事なことだと思います。


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