1. Rejectかどうかの確認
まずはrejectでないかどうか確認します。もしrejectでなければとりあえずは「やった!」ですね。Editor’s kick(desk reject)と言って、 査読にも回されずにrejectされる場合があります。これは「査読に回すまでもない」と判断された場合です。一週間ほどしても連絡がなければ外部査読に回っていると考えてもいいでしょう(投稿ページで確認できます)。
- Accept without revision
- Minor revision
- Major revision
- Reject
- 上記以外(research letterでの再投稿、姉妹誌へのtransfer)
基本的に上記のどれかです。いきなりアクセプトは極めて稀で、大抵はrejectかmajor revisionです。返信によっては”I am regret…”で始まっていて分かりづらいのもありますが、ちゃんと読みましょう。
2. もしRejectされたら
Editor’s kickの場合は速やかに次の雑誌に投稿しましょう(数日以内)。これは結構気が滅入るのと、体裁を変えないといけないので、ついつい面倒くさくなり後回しになりがちですが、放置している時間は無駄なので速やかに再投稿します。絶対に一週間以上あけてはいけません。心を無にして淡々とやりましょう。これが早い人は仕事ができる人です。
もし査読者のコメントがあってrejectされた場合は下記を参考にしてください。これは実際にあったやり取りで、出てくるco-authorはHarvard/MGHのCarlos Camargo教授です。
1st author:査読コメント付きでrejectされたのですが、どのコメントに対応するべきでしょうか?
Co-author:Wordに査読者のコメントをコピー&ペーストして、それに簡潔な返事を書くようにするのは良い練習です(箇条書きで良い)。そして、そのWORDファイルに対してみんなからフィードバックをもらうのが、次の投稿のためのreviseにもっとも良い方法だと思います。まずは査読者のコメントを下記のようにグループ分けしてアドレスすることです。
1. Important, we can change → 対応する
2. Important, we cannot change → 研究限界に追加する
3. Not so important but we can change (eg, for clarity) → 対応する
4. Not so important and we cannot change → 無視する
5. Wrong and potentially a common complaint → 文章を分かりやすくするなど、次に同じようなコメントがつかないようにする
6. Wrong and idiosyncratic → 基本無視するが、同じ査読者に当たる可能性は念頭においておくこと
研究者によっては「自分たちが出した時点で仕上がっているから、変に勘案するとおかしくなるので変えない」という意見の人もいます。これはメンターの指示に従うのがよいでしょう。ただ狭い世界なので、次に出した雑誌でまた同じ査読者に当たる可能性は十分あります。その時に「前もこの論文見たけど、私がコメントしたところが何も変わってない」ってなったら多分またrejectになりますよね(筆者は査読する側で実際に経験した事があり、前の査読時のコメントをコピペして即rejectしました)。
また、査読付きでrejectされた場合に、時々「この査読でrejectは納得いかない」と思うこともあるかもしれません。そのような時にrebuttal letterを書くケースもありますが、筆者らは基本的にお勧めしていません。決定は編集者・編集部が行なっており査読者の意見はあくまで一意見だからというのと、編集部にとって一旦rejectしたものをゴネられるのはあまり好ましいことではなく、次回投稿時の印象を悪くするだけだと教わりました。
3. Revisionの原則
勘違いしてはいけないのですが、一番大事なのは査読者ではなくeditor(編集者)です。編集者(部)が最終的に採否の判断をするので、決して編集者の機嫌を損ねるような事はしてはいけませ ん。例え査者がnoと言っても編集者の意志でacceptになることもありえますし、逆に査読者が「これはいい論文だ」と言っても編集者が気に入らなければrejectされることもあります(筆者も査読者全員が褒めていたのにrejectされた事があります)。 編集者の機嫌を損ねないためには、下記の点を重視しましょう。
- 期日までに返事を返す
- 全ての査読者のコメントに答える(くだらないと思われるコメントにも対応する)
- 攻撃的・中傷的な表現をしない
- 礼儀をしっかりする
- 返事は査読者に向けてではなく、編集者に向けて書く
- コメントの意図を正しく掴む
- 論文の弱点は素直に認める
Rejectされなかったら編集者・査読者のコメントに回答しないといけません。一部の一流誌を除き一般的に査読者の質はそこまで高くないこともあります。論文の意図を理解していない(これは伝え方に問題のある場合もあります)、研究デザイン や統計を分かっていない査読者に当たることもあります。また、一部の傲慢な査読者に当たることもあります。それでも論文の質の向上に役立つところは取り入れる、役に立たないコメントについては礼儀正しく対応することが必要です。
論文のリバイスは解析のやり直しなど、かなり辛い作業です。しかし「論文作成時の労力は編集者の好みなどで蹴られたりして報われないことも多いが、リバイスの労力は報われるから最大限頑張った方がいい」と言う先生もいるように頑張りどころです。
ちなみに 一部の一流誌では外部査読と呼ばれる通常の査読者に加えて疫学・統計学専門の査読者が加わることがありますが、これは難敵です。編集者と彼らをいかに説得するかがキーポイントになります。また機械学習を用いた論文だと機械学習専門家がつく事もありますが、彼らの一部は医学研究者ではないため、対応が難しい事があります。
4. Reviewが遅い場合の催促
時として、論文を投稿したものの数ヶ月なしのつぶて…ということがあります。大体2-3ヶ月たってもなにも返事が無い、あるいは投稿した雑誌のウェブサイトの進捗状況に変化がない場合は催促してみましょう。サイトで確認できる査読の進捗状況として下記があります。
- Initial assessment/with editor(査読に回すかどうか決めている)
- Selecting reviewers(編集者が査読者を決める)
- Peer review stage/awaiting reviewer’s comments(査読者からの返事を待っている)
- Awaiting decision/With editor(編集者の最終判断段階)
のような流れになります。2ヶ月経ってもまだInitial assessment/selecting reviewers などの場合は忘れ去られている場合もあるので礼儀正しく催促してみましょう。文例としては、下記のような感じです。
Subject: Inquiry about submitted article (MSID: xxxx-yyy) Dear XXX Journal Editorial Team
I am Kenkyu Taro. I have submitted our manuscript titled “XXX”, MSID: xxxx-yyy to your journal on dd/mm/yyyy. However, the status remains “initial assessment” for the past two months.
I would appreciate if you could let us know when we can expect further progress on our submission.
Thank you very much for your time and effort taken to reviewing our manuscript.
Sincerely,
Kenkyu Taro, MD
Department of Emergency Medicine,
Kenkyu Hospital
また、コメントの意図が分からない時や相談事がある時はeditorial officeに相談してみましょう。
Subject: Regarding submitted manuscript (MSID: xxxx-yyy) Dear XXX Journal Editorial Office
I am Kenkyu Taro, the corresponding author of manuscript titled “XXX”, MSID: xxxx-yyy. Thank you very much for the comments and suggestions.
We are very excited with the opportunity to revise and improve our manuscript. However, we are experiencing difficulties regarding(困っている内容). We would truly appreciate if you could provide us any advice or support on this issue.
Sincerely,
Kenkyu Taro, MD
Department of Emergency Medicine,
Kenkyu Hospital