1. 英文校正は必要か?生成AIの登場
ChatGPTの登場で、一気に英文校正の必要性が減りました。正直、ChatGPTとDeepL Writeだけで十分なレベルにあると思います。もちろんBardやBingなど似たようなサービスがたくさんあるので好きなものを使えば良いのですが、「プロフェッショナルとして医学雑誌用に文法を自然な形に校正して」と指定するだけで、ちゃんと校正してくれるのは本当に便利になりました。
これまでは、どれだけ英語に自信があっても、必ず医学論文を書いたことのあるネイティブか校正業者にチェックをお願いしましょう、と勧めていましたが、現時点ではそこまで強く勧めるものではありません。ただ、出来上がりの文に自信が持てないのであれば、校正業者を使うのは良いと思います。
結局「言いたいことが正しく伝わるか」が大事なので、出来上がった文章の判別は誰かがしないといけないのです。諸学者が書いた文章は論理構成がおかしかったり、急な話の展開があったりするため、このような点はChatGPTなどでは対応ができません。
2. 英文校正が全て解決してくれるわけではない
上記と関連しますが、とりあえず書いたらあとは英文校正に出せばなんとかなると考えている人がたまにいますが、英文校正はあくまで文法などの表現を見るだけです。従って研究デザイン、生物統計、結果の解釈、論理構成などを評価はしてくれません。つまり元の文章が駄目ならそれは校正に出しても根本的には良くならないのです(これがメンターが必要な理由です)。
この論文を書くためのスキル、すなわちacademic writingのスキルは極めて重要なのですが、これは毎回の論文をメンターと一緒に手直しを加える中で学ぶものであり、中々体系的に学ぶ機会に乏しいのが実情です。最初から「メンター・英文校正に投げるからいいや」では成長が見込めませんし、ロジックを磨くこともできません。また、忙しい先生方をa, the, -s, 時制 などの基本的なところで煩わせてはいけません。そこは見せる前にChatGPTなどで校正すべきです。指導医は「全体の論理構成、表現」を見るのであって、文法指導をするわけではないことに注意して下さい。メンターに見せる前に自分でもできるだけ頑張りましょう。
3. 校正業者の選び方
校正業者は当たり外れが大きく、同じ業者内でも当たり外れがあります。こればかりは運が大きいかもしれません。英文校正業者比較サイトhttp://eibun-hikaku.netなどもありますので、自分にあったところを探しましょう。また、投稿先の雑誌によっては校正業者を紹介しているところもあります。
またネイティブであれば誰でも良いというのではなく、研究者としての土台がない人に依頼するのは辞めましょう。例えばコンビニで会った人に「すみません、日本語の論文校正してください」と言ってもできませんよね。それと同じです。大抵の研究室はお抱えの校正業者がいます。