1. Acknowledgements(謝辞)
Acknowledgements(謝辞)では、主に共著者にはならなかったけれども研究に貢献した人を書きます。例えばデータ収集に協力してくれた人、統計解析のアドバイスをもらった人、英文校正をしてくれた人などです。ICMJEが謝辞に該当する役割として下記を挙げています。
・資金の獲得
・研究グループの一般的な監督または管理サポート
・執筆支援
・技術編集
・言語編集や校正
ちなみに名前だけ書いておしまいというのはダメで、「〇〇先生からは統計解析のアドバイスをいただきここに感謝します」というふうに、何に対しての謝辞かを明確にしましょう。このセクションはChatGPTに聞きながら書けば良いです。
謝辞対象者の所属は書かなくて大丈夫です。米国疫学学会雑誌に謝辞に関する簡潔なまとめがありますが、謝辞に書かれた人は論文の内容を支持するというニュアンスが含まれてしまう可能性があるため、謝辞に加える人から同意を得ておくのは大事です(理想的には書面同意の取得)。
もし投稿雑誌のスタイルにfundingなどの情報を記載する箇所が無い場合、acknowledgementsの欄に記載するのを忘れないようにしましょう。ちなみに個人的な関係(例:友人や両親)や、一般的な援助(例:研究グループの秘書さん)など、特に研究に関係のない貢献は引用しないのが普通です。さらに、雑誌の編集者や査読者も謝辞には入れません。書き方の決まりは特にありませんが、一例として下記になります。
・Dr. Kenkyu conducted the data analysis and created the tables and figures.
・Dr. Tokei provided his statistical expertise.
・Ms. Kosei provided a critical review and helped edit the manuscript.
2. Contributorship
これは書き方が色々あるのですが、「誰が論文の何にどれだけ貢献したか?」を示すものです。書き方は大きく分けて三通りあり、
1. 自由記載するパターン
2. 共著一人一人に対してどのような役割を行ったかを記載するパターン
3. 具体的なエフォートを入力させるパターン
があります。
いずれにしても大事なのはICMJEの著者基準をちゃんと満たしていることです。書き方の例は下記の通りです。困ったら投稿先の雑誌の論文(オープンになっているもの)を選び、論文の後半にあるcontributorなどの欄を参考にするといいでしょう。
自由記載の例
YR contributed to the design of the study, data analysis, and interpretation of the results and writing the manuscript. TG contributed to the design of the study and interpretation of the results and critically reviewed the manuscript. MKF, DFMB, and CAC contributed to the acquisition of and maintaining the data and critically reviewed the manuscript. KH contributed to the analysis of the data, design of the study, and interpretation of the result and critically reviewed the manuscript. All authors finally approved the final version of manuscript.
書く内容が決まっている場合
- Drs Goto and Hasegawa had full access to all of the data in the study and take responsibility for the integrity of the data and the accuracy of the data analysis.
- Concept and design: Goto, Hasegawa.
- Acquisition, analysis, or interpretation of data: All authors.
- Drafting of the manuscript: Goto, Faridi.
- Critical revision of the manuscript for important intellectual content: Goto, Camargo, Freishtat, Hasegawa.
- Statistical analysis: Goto, Hasegawa.
- Obtained funding: Camargo.
- Administrative, technical, or material support: Faridi, Hasegawa.
- Supervision: Camargo, Freishtat, Hasegawa.
3. Data sharing/availability statement
研究のデータをシェア可能かどうか、に関して書かなければいけません。近年はデータ公開を求めるところが増えてきましたが、医学領域においては個人情報を盾にまだまだ公開は進んでいないと思います。島根大学の和足先生がブログでまとめているので参考にしてください。
Data availability statementの書き方
恐らくほとんどの先生が自施設や自分たちのコホート・レジストリデータを使っていて公開不可能だと思いますので、筆者がよく用いる例は下記でしょうか。
・公開不可能な場合(倫理委員会や同意が取れないことを理由とする)
Due to the nature of this research, participants of this study did not agree for their data to be shared publicly, so supporting data is not available.
・著者と相談の場合(systematic review/meta-analysisなどで用いられる可能性がある場合)
The data that support the findings of this study are available from the corresponding author, [author initials], upon reasonable request.
4. Supplemental material
Supplemental material(補足資料)は論文に書ききれなかった情報を記載するところです。有効活用しましょう。Supplemental materialに入れるものとして、
- 本文に入りきらなかった方法(患者選択基準や疾患名のコードなど)
- 本文に入れるほどではないが重要な図表・結果
があります。論文の結果が出たら、まずはメインとなる図表を決めますが、それ以外に「これは入れた方が理解の助けになるな」と思われるものは全てsupplemental materialに入れておきましょう。Supplementalの図表はWordに貼り付けたものがそのままWord/PDF形式でダウンロードされるため、Word/PDFファイルで見た時に綺麗に見えているかどうかが大事です。
1ページにひとつの図・表になるようにしましょう。書き方のお作法や決まりは特にありませんが、最初に論文のタイトル、著者名、それから内容の見出しを書いて、次ページから補足する内容を記載します。
Supplemental material
Machine learning–based prediction of clinical outcomes for children during emergency department triage.
Authors: Goto T, Camargo CA Jr, Faridi MK, Freishtat RJ, Hasegawa K.
eTable 1. Missingness in Predictors in Emergency Department Children (n=52,037)
eTable 2. Predictor Variables and Outcomes Between Analytic and Non-analytic Cohort
eTable 3. The Number of Actual Outcomes and Predicted Outcomes of Prediction Models in the Test Set
eFigure. Importance of Each Predictor in the Random Forest Models